本来進むべきクエストの途中で、気になる箇所を発見して、つい寄り道しちゃうのって。
寄り道の、またさらに寄り道なんかして、どんどん元のクエストからは外れていって、ふと我に返って「あれ?今って何をしてるんだっけ?」とか思うの。
ゲーム本体だけじゃなく、CK(クリエイションキット)をいじっていても似たような迷子状態になるんだから……スカイリムは本当に奥の深い作品です。
ところで、レイロフ君なんですが。
前回、無事に社会復帰を果たして真面目に働くようになったので、おばちゃんは彼にお嫁さんでも世話してあげようかなと思ったわけなんですが、そこでふと思い出したんです。
そういえば、レイロフ君って昔、好きな子がヘルゲンにいたんだよね。
ゲームのオープニングのしょっぱなで、ヘルゲンの町に馬車が到着すると、レイロフ君が唐突に思い出話を始めるのですが……覚えてますか?
ちなみにこのシーン、これから首を切られるってのに、昔の恋バナなんて悠長にしてる場合じゃないだろう、とおばちゃんは少々不自然に思ってたんですけど、英語の音声にしてみるとちょっと印象が変わりました。
英語版のレイロフ君の声優さんの喋り方は、日本語版の感情豊かな声優さんと違って、もっとボソボソとした、独り言みたいな喋り方なんですよね。
だからこそ、これから処刑されるという今の自分の状況に途方に暮れてるような感じが伝わってきます。
……遠い昔、少年だったあの頃と、この町、ヘルゲンの様子は少しも変わらない。
昔はこの町の壁が、帝国軍が駐在している砦の存在が頼もしく思えたのになぁ……
それなのに自分は今、その同じ町にいるのが不安でたまらない(たぶん処刑されるから)。
どうして自分はこんなところにいるんだろう。
この町の女の子に夢中になってたあの頃から、なんて遠くまで来てしまったんだろう。
……みたいな。
さて、このレイロフ君の恋バナの後日談ですが、ヘルゲン脱出後、廃墟となったヘルゲンに山賊の皆様が沸くようになると、ちょっとしたレアアイテムが出現します。
落ちてる場所は、ヘルゲンの元・宿屋の二階です。
ヘルゲンから脱出する時、最初に塔の階段を駆け上がって向かいの家の二階に跳び移ったかと思いますが、同じようにして二階に侵入すると辺りに5本ばかり散らばっています。
心憎い演出ですよね。
『ジュニパーベリー入りのハチミツ酒』だけだと何のことか思い出せなくて素通りしてしまうかもしれませんが、その前に塔から向かいの宿屋に飛び移る、という最初の時と同じ動作をさせてから発見させるのです。
ああ、あの時の……レイロフは今、何やってんのかなあ、と懐かしく思う筈。
どうせここまでやるのなら、この『ジュニパーベリー入りのハチミツ酒』をレイロフに届けるクエストまで用意して欲しかったなあ。
再会を祝してこのハチミツ酒で乾杯するだけの、ちょっとしたミニクエストでいいから。
ところでこの『ジュニパーベリー入りのハチミツ酒』の生産者であるヴィロットさんなんですが……男、なんですよね。
最初に「あれ?」と思ったのは、ヘルゲンでの処刑シーンです。
ストームクロークで一番最初に処刑された人……『恐れを知らず生き、恐れを知らず逝った』の人……が殺された後、処刑の様子を見ていた町の人から野次が飛んでくるのですが、字幕をONにしているとその野次を飛ばした声の主が「ヴィロッド」と表示されます。
「え?ヴィロッドって……レイロフ君の好きだった娘じゃない?」
…そうは思うものの、「裁きだ!」という野次の声は完全に男。
今までは、このゲームによくある名前が被ってるキャラなんだろう、とか思って深く考えなかったのですが、この機会に徹底的に調べてみることにしました。
だって……好きだった女の子は実は男でした、という話なんだったら、紹介するお嫁さんのタイプを、よくよく考えないといけなくなるじゃないですか。
それではメインクエストMQ101『解放』に登場するヘルゲンの町の人々を改めて見てみましょう。
この町の人たちは最初の処刑シーンのみに登場するNPCなので(ハミングを除く)、普通はあまり馴染みがないかと思いますが、何度も繰り返してゲームを遊んでいると、オープニングの破壊前のヘルゲンは下手な街より訪れることになります。
なので、何となく見覚えがある方が多かったり。
まずは一番左上のグンナールさんですが、この方はアルドゥインの襲撃の際、ハドバルさんから名指しでハミング君を託されるシーンがあるので、比較的印象に残りやすい方だと思います。
ちなみにこのグンナールさんは、CKでRelationshipsを見てみると、ファルクリースの鍛冶屋さんのロッドさんのお兄さんのようなんですよね。
(ロッドさんは、バルバス犬を見つけてくれと依頼してくる人です)
ゲーム中ではこんな設定、まったくどこにも活かされてないような気がするのですが……グンナールさんはアルドゥインの襲撃からは無事に逃げたんでしょうから(ハミング君が無事に祖父の家に辿り着いているので)、後日、ファルクリースのロッドさんの家で再会、とかいう展開があっても不思議じゃなかったんですけどね。
味のあるおじいちゃんなのに、もったいないです。
次はハミング親子……この二人も印象に残りやすい専用のシーンを持ったNPCです。
馬車がヘルゲンの街中に入ると、宿屋のデッキで外の様子を眺めていたハミング君は、隣にいたトロルフさんに、「パパ、あの人達は誰?どこへ行くの?」と尋ねます。
するとトロルフさんは「中に入ってみてくれ」と言いますが……まあ、これは「中に入りなさい」という方が自然ですよね。
ハミング君は、「どうして?兵士達を見たいんだけど」と口答えをしますが、トロルフさんに、「家の中だ。急げ」(これもちょっと不自然)と言われて、「うん、パパ」と素直に従います。
…なんてことはない会話ですが、あとほんの小一時間後に悲しい親子の別れが待っているかと思うと、せつなさで胸がしめつけられるシーンです。
しかもトロルフさんがかなりイケメンなだけに(吐息)……遠目から見たんじゃわかりませんが、近くでよく見てみたらえらい美男子だったんですよ、この方。
ハミング君も成長したら、こんなイイ男になるんでしょうかね。
アルドゥインの襲撃を受けると、この親子は何故か宿屋の隣の家の前あたりにいます。
(吹っ飛ばされたのでしょうか?)
トロルフさんは負傷したらしく、道の真ん中に倒れて動けない様子。
ハミング君は無傷ですが、傷ついたお父さんの側から離れられないでいます。
塔から宿屋に飛び移って大急ぎで駆けつけると、この親子の最後の会話を聞くことができますが、タイミングが難しいのでなかなか全部は聞き取れません。
CKでこのシーンを覗いてみると、以下のようなセリフがあるようです。
ハミング 「起きて、パパ!起きてったら!」
トロルフ 「若いの、もう駄目だ。行け、逃げろ!」
(ハミングがハドバルに呼ばれてアルドゥインの前から逃げる)
トロルフ 「よくやったぞ。お前は誇りだ」
ハドバル 「トロルフ!何て事だ……みんな下がれ!」
トロルフ 「若いの、もう駄目だ。行け、逃げろ!」
(ハミングがハドバルに呼ばれてアルドゥインの前から逃げる)
トロルフ 「よくやったぞ。お前は誇りだ」
ハドバル 「トロルフ!何て事だ……みんな下がれ!」
若いのって…… 何でトロルフさんのセリフだけ、毎回こうも不自然なのでしょう。
まあ、それでも泣けてくるシーンですが。
それにしてもハドバルはグンナールさんだけじゃなくて、ハミング親子とも親しかったんですね。
もしかするとハドバルは、前々からヘルゲンの部隊に所属していて、街の人達全員と付き合いがあったのかもしれません。
ハドバルの上官の女隊長は、ヘルゲン砦の責任者っぽいですしね。
ちなみに宿屋のデッキにはもう一人、処刑の様子を最後まで眺めていた人がいます。
彼女はマトララさんと言いますが、この方はどういう人なのか、ハミング親子とどういう関係があるのか、よくわかりません。
顔のデータを見てみると、「SkinFemaleNordComplexion_Age50」がついているので、50代のようなのですが……ハミング君のお母さんにしては少々年を取りすぎていますよねえ。
この方も、アルドゥイン襲撃後、元いた筈の宿屋からはとんでもなく遠れた場所に倒れています。
テュリウス将軍と帝国軍の兵士がアルドゥインと交戦しているところを抜けて、ヘルゲン砦に向かう道の途中あたり……宿屋から100メートルくらいは離れているんじゃないかと思うんですが、もしかしたらアルドゥインの爪にでも引っ掛けられて運ばれたんでしょうか。
まあ、何にせよ、この傷では助からなかっただろうと思います。
さて、最後は問題のヴィロットさんと、その連れ合いのイングリッドさんです。
彼らは囚人を乗せた馬車が止まるあたりの横の家、宿屋とは塔を挟んで隣の家の前にいます。
どうやらこの二人は熱心な帝国軍のシンパらしく、自分の家の目の前で無残な首切りシーンが始まったというのに、目を背けるどころか、興奮して、
ヴィロッド「裁きだ!」 イングリッド「ストームクロークに死を!」
…と野次を飛ばしてきます。(後ろを振り向けないので、プレイヤーの位置からは、野次ってる二人の姿は見えません)
まあ、ヘルゲンの街の人は今までヘルゲン砦に常駐している帝国軍にずっと守られてきたんだから、帝国派なのはしょうがないですよね。
きっと商売なんかも、帝国軍の人達がお得意様だったりしたんでしょうし。
アルドゥインの襲撃後、ヴィロッドさんはテュリウス将軍と部下の帝国軍の兵士たちが固まって交戦している辺りにいます。
(上の画像で、負傷して地べたに座り込んでいるのがヴィロットさん。小さいですが、その奥に倒れているのが前述のマトララさんです)
どうやらヴィロッドさんは勇敢にも帝国軍の兵士たちと共にアルドゥインに立ち向かって戦っていたようです。
帝国軍兵士「傷が深いぞ、ヴィロッド!出血を止められない!」
ヴィロッド「家族には、勇敢に戦ったと伝えてくれ」
帝国軍兵士「どうした。手を貸してくれ。ここから連れ出してやる」
ヴィロッド「もう遅い。かまうな。お前は生き延びろ」
ヴィロッド「家族には、勇敢に戦ったと伝えてくれ」
帝国軍兵士「どうした。手を貸してくれ。ここから連れ出してやる」
ヴィロッド「もう遅い。かまうな。お前は生き延びろ」
例のごとくCKで覗いてみると、ヴィロッドさんと帝国軍兵士は混戦の最中、こんな会話を交わしていました。
帝国軍兵士のセリフから察するに、やはり彼らとヴィロッドさんは前々から親しい付き合いがあったようです。
家族ってのはイングリッドさんのことかな?
彼女の姿は見えませんが、果たして無事でいるのか……
それにしても民間人のくせに、なんて勇ましくて思い切りのいいヴィロッドさん。
衛生兵ーッ!衛生兵ーッ!援護するから早くこの人を助けてやって!
(ちなみにこの辺りで長居をしていると、アルドゥインの攻撃を結構食らうのでヘタすると死んだりします。ベリーハードモードだとかなりシビアなので要注意です)
さて、こんな専用のシーンが用意されていたヴィロッドさんですが、この方、CKで見てみると、他の使い捨て(失礼)のNPCとは違って、普通の街の人として作られていた名残のような設定があるのです。
これはヴィロッドさんの所属しているFactionの設定タブ。
「TownHelgenFaction」というのは、イングリッドさんやハミング親子など他の人達にも設定されているヘルゲン市民用のFactionですが、ヴィロッドさんはそれに加えて、「CrimeFactionFalkreath」「JobInnkeeperFaction」「JobMerchantFaction」という多彩なFactionを持っているのです。
「CrimeFactionFalkreath」というのは、誰かに暴力を振るわれた場合、相手にファルクリース領内での犯罪が加算されるように付けられるFaction。
ヘルゲンの街はファルクリースホールドに属していますので、ヴィロッドさんに付いてても別におかしくはないFactionなんですが、他の人達には付いていません。
なぜかヴィロッドさんだけ。
「JobInnkeeperFaction」は宿屋の経営者、または従業員に付けられるFaction。
「JobMerchantFaction」は、商人に限らず、物を売買する行為が可能な人物に付けられるFactionです。
これは……
もしかすると、ヘルゲンで宿屋を経営していたのはヴィロッドさんだったのでは?
ヘルゲンの宿屋の二階には『ジュニパーベリー入りのハチミツ酒』が落ちていました。
そして、ヘルゲンのヴィロットさんは、宿屋の関係者だった形跡がある……。
レイロフ君が話していた『ヴィロット』さんとは、間違いなく、この人のことでしょう。
つじつまが合いすぎているので、名前が被っているだけの別キャラ、というわけではなさそうです。
では、やはり、レイロフ君の好きだった子は男だったのか……?
こんなタイプが好みなのかあ……面食い、ではないんですね。
いや、ちょっと待てよ……これだけ伏線のあるレイロフ君の元カノが実は男だった、とかいうオチなんだったら、UESPWikiにデカデカと取り上げられている筈です。
そこでUESPでVilodさんの説明を探してみると……ちゃんとありました。
説明を読むと、やはりUESPでもヘルゲンのヴィロットさんは、レイロフ君が語っていたヴィロットさんのことだと書いてあります。
しかしレイロフ君が昔、好きだった、とはどこにも書かれていません。
う~む。
これは……レイロフ君の好きだった子と、ヴィロットさんは、全く関係ない……のか?
Ralof : This is Helgen. I used to be sweet on a girl from here. Wonder if Vilod is still making that mead with juniper berries mixed in.
おばちゃんは英語がからきしダメなので、これは当てずっぽうでしかないのですが……
もしかすると英語のセリフだと、レイロフ君の『好きだった子』と『ヴィロッド』は全く違う人物である、というのが明確なんじゃないでしょうか。
たとえば日本語だと、こんな感じ↓に聞こえるような。
『ヘルゲンだ……昔、ここに好きだった女の子がいたなあ。そういえば、ヴィロッドは今でもジュニパーベリー入りのハチミツ酒を作ってるんだろうか?』
好きだった女の子の話をされて、何の接続詞も挟まずにヴィロットさんの話をするもんだから、エアリーディングに長けた日本人としてはつい、『好きだった子』=『ヴィロット』という風に解釈してしまいましたが、英語だとそんな風には思わないんじゃないかしら。
好きだった女の子の話をしたついでに、ジュニパーベリー入りのハチミツ酒を作ってたヴィロッドさんのことも思い出した……実際のところはどうなのかわかりませんけど、おばちゃんにはそちらの線の方が濃厚のような気がしてきました。
まあ、別にヴィロットさんが初恋の相手だったとしても構わないんですけどね。
レイロフ君のお見合い相手は、細目で少々タレ目のエラの張った勇敢なノルド、で探すことにしましょう(笑)
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読み終わった後の素晴らしいすっきり感
返信削除面白かったです!
返信削除やっぱり、スカイリムって奥が深いですね^^
返信削除勉強になりました
返信削除ファルクリース南の山奥に住んでる元ヘルゲン在住のアンジーさんとか関係ないですかね?帝国人とトラブルがあったようですし
返信削除そういえばアンジーさんはヘルゲン出身でしたね。
削除確か二年前に酔っ払いの帝国人と揉め事を起こして今の野営地に隠れ住むようになったとか……
残念ながらアンジーさんのデータには、ヘルゲン住人との関係を匂わせるような設定は無いみたいですが、破壊前のヘルゲンはかなり帝国色の強い町だった…ということがわかるエピソードですね。
もしレイロフさんの好みがそうなら、余計応援したくなるかもw
返信削除彼女(イングリッドさん)をめぐって争った、今となっては楽しかった過去があったのかなー…などと思いました。
返信削除細かい説明がないぶん、色々想像できて楽しいですね
「家の中だ。急げ」は、「早く中に入れ!」が相応しいかな。
返信削除ヘルゲン崩壊前の状態を維持するMODとかないのかな…